ファミレスというのはその名のとおり「ファミリー」をターゲットにしている。したがって、ファミリーの主導権を握る「王様=子供」にいかに受け入れられるかが重要なファクターとなる。ファミレスでは子供が主役なのだ。しかし、子供を連れてくるのは親だから、親子して快適であるかどうかが大事なのである。

厨房にいる人間としてはオーダーが入ってくるときに、子連れであるかどうかを最初に知らせてほしい、と思う。お子様メニューが入ってくればそれとわかるが、そうでないときもあるからだ。逆にお子様メニューだからといって一生懸命作ったらそれを食べているのがOLだったりすることもある。お子様メニューは原則としてお子様に限られるが、大人が注文してくる時もある。そういう場合は断りきれない。

子連れであることを知らせてくれれば何を置いてもそのオーダーを先に仕上げる。子供は騒いでうるさい。他の客の迷惑にもなる。ましてやレストランに来るということは腹が減っているという事だ。うるさい子供を黙らせる秘訣はただ一つ。真っ先に食い物で口をふさぐのだ。親もそれを望んでいる。

新聞にファミレスの記事があった。子連れ主婦が行くファミレスランキングでなんと一位がガスト。二位がデニーズで三位がびっくりドンキー。四位にはロイヤルホストが名を連ねている。サンプリングに偏りがあるとも勘ぐれる結果だが、記事によれば、トイレにベビーベッドを常備している率のトップがガストであるという。続いて二位がデニーズ。このあたりはさすが老舗。子連れ客をターゲットにしている取り組みがうかがえる戦略だ。

また、メニューでもお子様メニューを古くから充実させているのは、ガストとデニーズだ。離乳食やミルク用のお湯を提供するなど新しい取り組みにも熱心。子連れ客は子供が騒ぎやしないかと親のほうが大変な場合も多い。そういう時に助かるのがベテランウェイトレスあるいはウェイターの心配り。ここらになると人材の資質がモノを言う。

低価格で気軽に利用できるファミレスは子育てに忙しい主婦の憩いの場だ。そのあたりファミレス経営者は再確認する必要があるだろう。しかしお子様メニューといっても作る手間は変わらないから、厨房は結構大変であることはいうまでもない。

2003/01/26

関連記事