昔はスパゲッティといえばナポリタンかミートソースに決まっていた。そしてそれしかなかった。ナポリタンとはハムやベーコンあるいはソーセージをスライスしたものにピーマン、たまねぎを一緒に炒め、茹でたスパゲッティと一緒にフライパンでケチャップと共に炒める。強火でかりっと仕上げるとこれがじつに美味いのだ。

一方、ミートソースは簡単この上ない。袋入り茹でスパゲッティと缶詰のミートソースを買ってきて、双方共にお湯で温め、茹でたスパゲッティにミートソースを掛けるだけ。じつに簡単。ちょっと前までは、この2品がイタリヤ料理として世に君臨していた。

今ではどうかというと、例えばイタリアンカフェレストランを自負するサイゼリヤでは、ナポリタンというメニューは無い。近いメニューでアラビアータというのがあるが、辛いトマト味で見た目は似ているが底ナポリタンでは決してない。

同じく、ミートソースを使うものはイタリヤ料理ではボロネーズと言う名前がついている。サイゼリヤでも「ミートソースボロニア風」などとそれらしき名前がついている。デニーズでも昔、ペンネにミートソースを絡めてランチで提供していた。ペンネボロネーゼがそれだ。

イタリヤのナポリでナポリタンを食べようとしても食べることはできない。なぜならナポリタンは日本人が考えた和食だからだ。和食だから当然イタリヤでは食べられない。日本で老舗の「食堂」あるいは洋食屋、あるいは喫茶店でないと見ることはできない。味は、当然イタリヤの料理より美味いのは当たり前。最近ではイタリヤ料理店はカッコつけてナポリタンをやろうとしないが、日本のレストランなんだからやれば良いと思う。

ナポリタン。メニューへの登場をお待ちしています。

2002/12/29

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