ファミレスの老舗デニーズに勤務していたときに感じたことは、意外と労務管理がしっかりしていることだった。サービス残業などとんでもない。それどころか勤務時間が経過したらならさっさと帰れという。これはまったく正しい。用もないのに職場にいて、もし事故でもあったら労災は適用にならないし、上司は重大な管理責任を問われる。これはひとえに年配のパートさんを多く使ってきた賜物に違いない。

社員の形態には通常大きく分けると3種類ある。正社員、契約社員(準社員)そしてパートタイマーだ。この中で一番労務管理が遅れているのが正社員。サービス残業でいじめられるのは真っ先にこの正社員であることが世の常である。

準社員やパートタイマーはいろいろな会社を回っているので労務上の契約などに精通していて、会社から指示がなくてもしっかり有給休暇を消化している。会社の労務担当はそんなパートさんや準社員に労務の実際を教わることが多いのが現実だ。そしてデニーズはそんなパートさんを長年使ってきた。したがって労務管理はよくできている。ちなみにサイゼリヤでは労務管理が遅れておりパートさんに年次有給休暇を請求されてあわてていた店長がいたのが懐かしい。

一番会社の労務に文句を言わないそしていえないのが正社員である。会社に忠誠を誓っているからだろうか。サービス残業はもとより有給休暇など入社以来10年になるが使ったことがないという人間が一般企業ではほとんどだったりする。

最近社会的にサービス残業が問題になり大きな会社でも告発される例が多くある。サービス残業とは、所定勤務時間を超えて無給で働かせることをいう。タイムカードは所定時間で切られているので、残業した証拠が残らないのが特徴。そしてこれは立派な犯罪であり、首謀者つまり会社の代表取締役は逮捕される刑事事件なのである。簡単に考えてはいけない。

インターネットが発達して個人でも簡単に告発ができる環境ができたため、会社も下手なことはできない。簡単に内部告発されてしまう。もっとも個人が告発できるといっても裁判になればそれなりに大変。告発内容が事実であっても、それを公にすれば名誉毀損になるからだ。告発などの喧嘩は世に問う前に会社に直接抗議することをお勧めする。公にするのはそれからでも遅くない。

ともかくサービス残業をさせる会社というのは最低の会社といえるもので、そんな会社はいずれ社員から見放され、そして社会からも見放されるのがおちなのである。しない、させないサービス残業。肝に銘じよう。

2003/02/16

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