最近、佐野ラーメンにハマっている。佐野ラーメンといえばメディアでは「オヤジの店」が有名だが、いつも行く時に開店しておらず、いまだ入店したことがない。そこで国道50号線にある看板につられるままに開いている店に入ってしまうのだ。しかしどこの店に入ってもハズレがなく、町全体で佐野ラーメンのブランドを守っているところがえらいと思う。

佐野ラーメンの特徴は縮れた細めの手打ち麺に世間で言うあっさりスープ。そしてとろけるようなチャーシューがウリである。佐野ラーメンの看板に出会ったら迷わずチャーシューメンを頼むべし。

今回訪れた店は国道50号線佐野インターから伊勢崎方面に向かってすぐ右側にある共栄ラーメン。佐野市内ではなく岩舟町にあるラーメン店だが、佐野ラーメンとして有名店である。

ここの特徴はなんといっても中国伝来の青竹打ちの手打ち麺にある。麺は機械で打つよりも手打ちのほうがうまい。その理由は加水率を多くできることにあるが、一方で手で打つのは力のいる仕事であり、なかなか大変である。そこで手ではなく足で踏んだりするのだが、ここでは青竹をテコのように使い体重をかけ効率よく伸ばす青竹打ちを採用している。ただし誰でもできる芸当ではないのは言うまでも無い。

伸ばした麺帯は手切りによるものだが、切ったあとも手でよく揉むのが佐野ラーメンの特徴。この手揉みによる縮れ具合があっさりスープをよく絡めて美味しいラーメンとなるのだ。

そばやうどんと違って中華麺の場合、前日に仕込んだ麺を翌日に使うなどある程度熟成させるのが普通であるが、ここ共栄ラーメンは打ちたてを提供している。打ちたてのよさはその麺の風味にある。熟成させるかしないかは店主の考え方如何であるが、こだわりの現れるところでもある。

ちなみに私が以前やっていたラーメン店の場合は一日の熟成時間をとっていた。熟成することで強いコシと滑らかな食感を得ることができる。しかし、熟成は気温や天候に左右されやすく、下手すると変質する一歩手前であったりする危険性も含んでいる。熟成を要しないコシを得られるのであれば打ちたてを提供することで均一性を図れるのでそれの方がベターであるといえる。共栄ラーメンの場合は打ちたてを提供してこのコシの強さを得られる理由は、粉に秘密があるのではないかとみた。

縮れ麺に合うスープはあっさりしたもの。といっても実はあっさりという表現ほどいいかげんなものはない。油が浮いていなければあっさりという表現をするならば佐野ラーメンはあっさり系である。しかし、豚の油はほどよく浮いているし、ダシにも芯が通っていて決して柔(やわ)ではない。

横浜「家」系の「背油チャッチャッラーメン」と比較すれば「あっさり」していると言えるがそれは油の多い少ないの差だけである。雑誌やテレビのラーメン評論で「あっさり」という表現が現れたら要注意である。

佐野ラーメンのスープは色は薄いのが多く、醤油と塩をうまくブレンドして使っている。また使う水にもこだわりがあるようだ。チャーシューはどんぶりから溢れんばかりの迫力で迫ってくる。ばら肉を使いとろりと溶けそうなくらいに柔らかい。ラーメンと比較して250円増のチャーーシュー麺はコストパフォーマンス的にもオススメのメニューである。

24年もの永年に渡って続いた店というのはそこに店主のこだわりがあるものだ。そのこだわるパワーが続くかぎり店は繁栄する。そして共栄ラーメンにもやはり半端でないこだわりがあるのである。

佐野ラーメン「共栄ラーメン」訪問記

2002/06/02

関連記事