ラーメン屋といえば相変わらず「家系ラーメン」系が強いが、その他のラーメン屋はどこも苦戦しているようだ。中華居酒屋に衣替えしているところもかなりある。家系は昔から味だけで勝負しているだけに不況とかはあまり関係無いようだ。しかし一時より値段が安くなったような気がする。これは良いことだ。ラーメン屋は低価格で勝負しなければならない。ラーメンはおやつだ。子供の小遣いでも手が届くようでなければウソだ。ラーメンが800円も900円もするというのはどこが違っている。
ラーメン屋がイマイチ元気のない理由にはいろいろある。まず、インスタントラーメンがおいしくなったこと。最近のインスタントラーメンは半端ではない。麺にコシがある。スープにコクがある。具がレトルトになっていて限りなく生に近い、など涙ぐましい努力の跡がみられる。
一方ラーメン屋はどうだ?美味しくもなんともないラーメンが700円もしたりする。お値打感全くなし。お客は馬鹿ではない。そっぽを向かれたのに気がつかないのはラーメン屋の店主。ラーメン屋は知らず知らずにインスタントラーメンやコンビニラーメンにそのファンを取られてしまった。
一方ギョーザ屋はどうだ?餃子の王将はじめいろいろあった餃子屋がこれまた元気が無い。入ってみると店は汚いし、餃子以外にも色々なメニューをやっている。つまり中華屋になってしまっているのだ。ギョーザを食べに入ったつもりが気がついたら酢豚定食を食べていたりする。よいのか?店主!!
ラーメンと餃子はセットで食べるものと思っている人が多い。ところが実際はそうではない。本気のラーメン屋は餃子を仕込むほど暇ではない。また、本気の餃子屋はラーメンスープの寸胴鍋は邪魔なはずだ。つまりラーメンもギョーザも本気で取り組んだら両立しないのである。ラーメンギョーザではなく、ラーメンライス、または餃子ライスが組み合わせとしては正しい。
試しに行列しているラーメン屋に行ってみるといい。ギョーザはやってないはずである。逆もまたしかりで、流行っているギョーザ屋はラーメンはやっていない。しかしそういうラーメン屋のラーメンは秀逸、ギョーザ屋のギョーザもまた逸品である。
ラーメン屋でギョーザをやらないわけは他にもある。ギョーザをやると客の回転率が落ちるのだ。ラーメンは2分でできる。しかしギョーザは早くても8分かかる。しかもお客はギョーザから食べるのを好む。したがって店の方ではギョーザを出してからラーメンの調理に取りかかる。これはタイミングも難しいし回転は悪い。つまり商売がやりにくい。
お客も悪い。ラーメン屋に入ると必ず「ギョーザはないの?」とか聞く。聞かれれば店主の心は動く。『ギョーザもやったほうがいいのかな?』
ギョーザ屋で一杯やり上機嫌のサラリーマン。最後に「おい!オヤジ。ラーメンくれ!」とのたまふ。ここでラーメンをやっていないギョーザ屋のオヤジは困惑する。『ラーメンもやったほうがいいのかな?』
かくしてラーメンとギョーザが混在するようになる。これは良いことなのか?そんなはずがあるわけない。ラーメン屋はがんばってラーメンを売ろう。餃子屋はがんばって餃子を売りまくろう。メニューを増やしたい誘惑に負けるな!店主。
2002/03/03