ファミレスというのは座席数が100席以上もあり、深夜営業もする。しかし社員は多くて5人。不採算店では3人で24時間回すところもある。労働時間を1日8時間としたら、どうやって休みを取るのかは謎だ。サービス残業で当局の手入れを受けないことを祈る。

少ない人数で店を回すということは大事である。経費で一番大きいのは人件費。それも社員の給料だ。フロントリーダーで年収650万、店長では750万以上、SVクラスではもっと多いのは推して知るべし。いずれも時給に換算すれば3000円以上になる。時間当たり売り上げが1万円もいかない店で、どうやって時給3000円が払えるのかも謎。当然時間当たり人員は一人ということはないからそれ以上の人件費はいやでもかかる。

いずれにしても、少ない人員で店を回さなければならないのがファミレスの宿命である。当然、店の備品や消耗品は自動発注によって自動納品される。社員はそれほど頭を使わなくても、大きな間違いはなく店は回ってゆくシステムになっている。

消耗品などの自動発注・自動納品は大いに活用すべきと思う。あいた労力を接客にまわす。これはとても正しい。しかし、食材の納品については別で、とことん気を使い吟味すべきところと思う。

いわゆる食材の「納め」というのは業者任せになりほんと駄目。納品される食材はレベルが低いのが現状。自分で金を出すんだったら絶対買わないと思うようなものまで納品されている。黄色いクレソン。スの入った大根。とろけた玉葱。これでは良い料理なんかできるはずがない。

食堂はその店の主が毎朝市場に買い出しに行く。自分の目利きで仕入れるのが原則。そしてとびっきりの食材を見つけたら、それを使った「今日のメニュー」が決まる。店の主が毎朝思いを馳せながら前の日の売上金を持って食材の買い出しに行く。良いものしか買わないし同じ物なら安いものを買う。そこにはマネジメント以前の「くいもの屋魂」があるのだ。その一番大事な仕事をファミレスは業者委せにしている。店長とキッチン責任者は市場に買いだしに行くべき。食堂のなんたるかがそこでわかると思う。

こういう話を以前デニーズの店長にしたら「絶対無理」という返事が返ってきた。そう、無理なのはわかる。しかし、キミタチは一体何のスペシャリストなのだ?と聞きたい。店長たるもの市場での仕入れで目利きができてもちっともおかしくないと思うのだが。むしろ目利きのできない店長がたくさんいても会社はちっとも伸びないし、伸びるわけがない。

2003/03/16

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