車を運転していたら反対車線で事故があったようだ。パトカーが止まっている。宅配用のバイクが倒れている。バイクをよくみるとGUSTOと書いてある。ガストの宅配バイクだ。料理は作りなおせばいいが、宅配員に怪我は無かったろうか?ちょっと心配。
ガストは宅配に力を入れている。そして将来は介護サービスまで手を伸ばし、トータルな食のサービスを目指す方針。宅配といえば聞こえはいいが、言ってみれば出前である。そして出前は危険が伴う。
出前はできればしないほうがよい。蕎麦屋は伝統的に出前というサービスがあるが、外食産業は本来は店売りで勝負すべき。出前をしなくてはならないというのは、店売りに魅力がないからだといえる。
以前私はラーメン屋をやっていた。当時流行っていた有名チェーンのせいで最初は羽振りがよかったものの、次第にチェーン店自体に飽きられ、売上が下がってきた。そこで誰しも考えるのが出前である。早速、ホンダのスーパーカブ(10万円)に出前機(10万円)をつけて準備。どんぶりも店で使う3倍の量をそろえ、高校生のバイク好き少年をアルバイトに雇い、出前を始めたのである。
出前を始めたころは、売上は2割くらい上がった。これならイケルと思いきや、店売りが段々下がって、次第に出前を始める前と同じ売上になってしまった。何のことはない、いままで店に来てくれていたお客さんが、出前に流れたのである。バイクの借金、どんぶりの支払い。そしてアルバイトの人件費が余計にかかったことになる。やんなきゃよかった。しかしここでやめたら、益々売上が無くなる。
出前は危険だ。出前が多い日というのは大体天気が悪い。したがってカッパを着込んで重装備で出かける。バイクがこけて料理をひっくり返すなんて事はしょっちゅうだ。料理はいい。かわいそうなのは雨にぬれて泣きそうなバイト生。
ファミレスはできれば宅配でなく、店売りを強化して頂きたい。なによりそれが本業だからである。ちなみに店でお待ちするのが「ウェイター、ウェイトレス=待つ人」である。
2003/01/19