昔はコーヒーといえばブレンドかストレート主流だった。高校生の頃、純喫茶なる扉が真っ黒で中が良く見えない怪しげな喫茶店に入り大人になった気分で注文したものだ。それがいつしか薄いアメリカンコーヒーにとって替る。今までの濃いコーヒーに比べアメリカンは砂糖もミルクも入れず飲める。しかもお代わり自由。これを最初に始めたのはファミレス(当初はコーヒーショップレストラン)のデニーズだと記憶している。

それから20数年。今はスターバックスに代表されるエスプレッソの深い味わいに驚く。「そうだ、コーヒーはこうもおいしいものだった」ことを思い出す。美味しいコーヒーをひっさげ、東京・渋谷の駅前にあるスターバックスコーヒーは並居る世界の強豪店を差し置いて世界一の売り上げを誇る。

エスプレッソコーヒーは蒸気圧によってコーヒー液を抽出する器具を使っていれるため抽出されるコーヒーは通常よりかなり濃い。そのままでは苦いのでカフェ・ラッテやカプチーノなどのようにミルクやチョコレートシロップなどを加えて飲むのが普通。この方式はスターバックスの生まれ故郷をとってシアトル式などといわれている。

1995年。米国シアトル生まれのカフェ「スターバックスコーヒー」はバブルが崩壊した日本の企業の多角経営の矛先として狙われていた。狙っていた企業は、住友商事、三井物産、そしてサザビー。最終的にスターバックスの契約を獲得したのは先行していたサザビーだった。1996年に第1号店を東京・銀座にオープンして以来、2001年1月には東京・立川に200号店を出店。2003年度には500店舗を予定しているという。

契約を取り逃した残り2社もあきらめてはおらず、その後住友商事がイタリアの「セガフレード・ザネッティ」、三井物産が米国の「シアトルズベストコーヒー」と契約を結び外資系のカフェ経営に進出した。いずれも成績は良好だ。

イタリア人は朝昼晩はだけでなく1日6回以上も濃いエスプレッソを飲むという。良いエスプレッソの条件は、色が濃い、酸味が強くない、口当たりがまろやか、そしてもう1回飲んでみたいと思わせる残り味が重要だといわれる。

イタリアの本物の味を出すエスプレッソだからこそここまで成長したし、良いものは生き残るという見本を見せてくれたスターバックスに拍手。日本のファミレスも負けじとエスプレッソのドリンクバーを導入し始めた。

2002/05/05

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