池袋に用事があって出かけた。

池袋といえば最近はラーメン激戦区。老舗の大勝軒はご主人の健康が思わしくなく、店は風前のともし火だが、それを補うかのように新しい行列店が続々と登場している。今回は別に用事があって出かけたので時間があればぜひ行列店に挑戦してみたかったが、あいにく時間切れ。しかたなく行きずりのビルの地下に入っている「元祖札幌や」に入って味噌ラーメンを食す。

これが白味噌仕立てのニンニク味で意外とうまかった。

「元祖札幌や」と言えばもちろん札幌ラーメンのチェーン店。第一次札幌ラーメンブームを席巻したのは「どさん子」だが、それは30年以上も前のこと。「元祖札幌や」はチェーン店では後発だが、元祖というくらいで札幌ラーメンでは草分的存在。いまだに店舗はたまに見かける。むしろ「どさん子」は探すのが大変になってきている。今回「元祖札幌や」に入ったのは懐かしさもあった。

ちゃんと作られた札幌ラーメンは今でもおいしい。最近あちこちでご当地ラーメンが幅を利かせているが、札幌ラーメンはこってりとした重みのある味で、寒い日にはこたえられないおいしさを持っている。札幌系のチェーン店が軒並み消滅したのは結局のところこの味を守れなかったからだ。本部指導が怠慢なのに加え、そもそも加盟した素人夫婦でやれるものではないのだ。飲食店を甘く見てはいけない。しかしそれでもいまだに残っている「元祖札幌や」はそれなりの指導力と商品力があるからだろう。

しかし、店内を見渡せばはやり苦労の跡が見られる。やたらメニューが多いのだ。アフターファイブには一品料理も加わり、銘酒地酒の瓶も並ぶ。毎度言うがラーメン屋はラーメンで勝負すべき。ほかのメニューは要らないし、客の回転率を鈍らせるだけだ。ラーメンだけで勝負できない店の悲哀感がメニューに現れる。

ご主人は行列店に入ったことがあるのだろうか?行列店には余計なメニューは無い。ラーメンに命かけているから余計なメニューに気を配っている暇は無いのは。一球入魂。その結果、人を感動させられるラーメンが誕生する。

テレビのチャンネルを回せばそこかしこでラーメン特集番組をやっている。こってりしているのにさっぱりしているなど、レポーターはわけのわからないことを連発しているが、それを聞き流しても見るべきものが多い。これらに負けず、ここらで札幌系も一発奮起してもらいたいものだ。素質は十分にあるのだから。

2003/02/02

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