アメリカには99セントオンリーショップというのがある。店内の商品は何でも99セント。化粧品や食料品などほぼ身の回りのものは大体揃うショップだ。それを真似して日本で展開されているのが100円ショップ。その中でも大創産業が展開する「ダイソー」はここ数年で急成長しついに年商2000億円を達成。たかが100円されど100円を地でいく企業である。

100円ショップの魅力はなんといっても全品100円均一であることに尽きる。店内を探検し、あれも100円これも100円と感動しながらのショッピングは楽しい。それに全て100円だから安心感がある。ショッピングカゴの中に10個商品があれば千円プラス消費税で済む。計算に弱い人でも安心して買い物ができる。

我が家でも、スーパーに出かける前に100円ショップがあればまずそこをチェックする。そして100円ショップに無い物はスーパーやホームセンターで調達する。ライフスタイルに密着しているからこそ100円ショップは繁盛しているだ。

中でもダイソーの努力は別格である。安かろう悪かろうではなく100円の商品にも価値を求めた。そのために仕入れには非常に気を使ったそうだ。また自社開発商品も多い。衣料、文具、ガーデニング、工具など従来では100円では考えられなかった商品まで店頭に並んでいる。繁盛するわけだ。

しかし、大創産業の社長矢野博丈氏は悩んでいるという。「客は飽きる。安いだけでは売れない。翌日には客が来なくなるかもしれない。」その結果ともいえるコメントが新聞に載っていた。今後は200円コーナーも設けると言うのだ。ご乱心である。

よく考えてほしい。2000億円達成したのは100円にこだわってきた結果ではないのか?これで200円コーナー、300円コーナーと増やしてきたら客は混乱する。何でも100円だったのに、100円かと思ってカゴに入れたら200円だった。客は騙されたと思う。

ディスカウントショップが50円コーナーを作ったり、スーパーでも100円均一コーナーを出すなど競争が厳しいのはわかる。しかし100円ショップは100円で勝負すべき。にもかかわらず200円コーナーを作るのは明らかに「逃げ」である。ダイソーもお終いかな。

今回のなぜ100円ショップネタなのかというと、これをそのまま回転寿司に置き換えてほしいと思ったからである。一皿100円で寿司を売るのは至難の技である。仕入れ担当は死ぬ思いであると思う。しかしこのすぐ真似される世の中で儲けるには仕入れしかないのである。

「この仕入れではこの値段で売るしかない。だから200円。」担当者はこう思いがちである。しかしこれは明らかに間違い。100円で売れる仕入れをするのである。はじめに売価ありき。そしてその値段で売れる商品を探す。これは商売の基本である。

ちなみに、ダイソーでは生鮮品を売らない主義ということだが、是非生鮮品を扱ってほしい。もちろん100円で。あらゆるジャンルについて100円で売ることは、200円コーナーを作るより先にやるべき仕事だと思うが。

2002/10/20

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