ファミレスのキッチンでは普通のレストランに比べ特にスピード調理を求められる。そのために電子レンジがあるのだろう?と思われるかもしれない。確かに電子レンジはファスト(速い)のイメージはあるが、調理機器はそれだけではないし、電子レンジだけでは素早い料理提供は望めない。それよリも全体の調理手順の段取りが大事なのだ。

なかでもキッチン泣かせのオーダーがお子様メニューである。ファミリーで来るのがファミレスだから当然お子様が同伴である。そしてレストランに来るのだから当然彼らは腹を空かしている。大人は我慢ができるが子供は我慢が苦手である。特に外出している先では疲れも手伝ってお子ちゃまはかなりわがままになるのが常なのだ。

当然、席についてもすぐに飽きて騒ぎ出す。周囲のお客に気を使って親は気が気でない。そんな時に大人の注文品が先に出て、お子様ランチが一番最後になろうものなら、親子ともども激怒状態となる。レジ精算の時にいやみの一つも言いたくなるというのが心情であろう。従ってキッチン担当としてお子様メニューのオーダーが入ったら一番先に仕上げる。とにかく子供の口を食い物で塞げば万々歳なのである。

しかし、よりによってお子様お子様オムライスやお子様パンケーキなどという調理の難しいものがあるのがお子様メニューなのだ。早く出さねばならないのによりによって難しい調理。自分の調理技術の未熟さは棚に上げて「本部は一体何を考えているのだ」と文句もでてしまうというもの。

パンケーキというのは焼くだけの簡単メニューと思われるだろうが実際は結構管理が大変なメニューなのだ。準備として粉を水で練っておきディスペンサーにセットしておくのだが、経過時間によってグルテンの結合度により中身の粘度が変わってくるのだ。作ったばかりはさらさらで薄べったいパンケーキになってしまうし、時間がたったものは今川焼きのように厚くなってしまう。これが搾り出してから気がつくので、使えない場合はその場で作り直すしかないのである。

また、オムライスも同様。中身のチキンライスは調理済みレトルト(あるいは冷凍)だが表面を覆う薄焼き卵はそうはいかない。ちゃんとフライパンで作るのだ。しかしそこは新人のアルバイト。見事に失敗を重ねるわけである。(店舗によっては店長さえも何度も失敗することもある)

さらに、落とし忘れの失敗もある。お子様ランチにつきもののハンバーグ。これは調理済みの冷凍品である場合が多い。従ってオーダーを受けたらすぐにボイル器にドロップ(落とす)する。冷凍な為少なくとも7分のボイルが必要。ところがプレートにご飯、唐揚げ、ポテトがセットされ最後にハンバーグを盛り付けようとボイル器の中を探す。しかしいくら探しても見つからないのだ。寒い汗が流れる。

そんなこんなで、お子様メニューはキッチンにとって実に大変なのであります。

2002/11/24

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