最近関東地方で何気なく出店数を伸ばしているのが「とくの屋」。うどん専門である大阪の老舗うどんチェーンの(株)得得が展開する低価格路線をコンセプトにするチェーン店である。(株)得得はどさん子チェーンにも匹敵するくらい、古くからフランチャイズシステムを提供する会社だ。本拠地は大阪であるため関東ではあまりなじみが無いが、質の良いうどん商品を地道に提供してきた会社でもある。

とくの屋

その得得が展開する「とくの屋」はとにかく低価格がうれしい。今回試食した海鮮丼とミニうどんのセットはなんと500円。ほかにも天丼とミニうどん(そば)のセットや親子丼とミニうどん(そば)のセットなどもありいずれも500円のワンコイン+αもしくはお釣りが来る。人気の釜揚げうどんはなんと380円だ。ただし、ちょっと量は少なめで、これでは物足りないと思われるかたは大盛りを注文すると良いだろう。

低価格なため気になるのが品質だ。結論からすれば「価格からすれば致し方ない」といったところか。試食した海鮮丼についてだが、ネギトロといくらが乗ったいわゆる海鮮丼である。しかしネギトロが妙に油っぽい。色からすると鮭にも見える。これはマグロではなく類似した他の魚のほぐし身に油脂を加えたものと思われる。最近はロシアから輸入される「マス」が鮭として流通している事実からしても、これはどうみてもネギトロではないと思えるがいかがなものであろう。

また「いくら」もかなり怪しい。ずいぶん前に回転寿司の「いくら」がニセモノ食品であると騒がれたことがあったか、今回の「いくら」も粒を箸で持って中空から落とすとポンポン弾むことからニセモノ食品である可能性が極めて高い。仮にも「海鮮」と謳うからには本物の「海鮮」を使っていただきたいと思うのだが。

付属するミニうどんは温かいものと冷たいものが選べる。味付けは健闘しており、一応関東風になっているが本家関東の蕎麦屋のつゆには及ばない。むしろ関西風にしたほうがよかったように思う。うどん自体も「店で熟成した」とあるが、うどんの風味が無く妙にコシが強いあたり、私にはキンレイもしくは加ト吉の冷凍うどんとの区別が付かない。冷凍うどんが悪いわけではないが、流行しつつある「讃岐うどん」が風味のある美味しいうどんを提供しているだけに「とくの屋」のうどんはちょっと物足りないのである。しかし総じて美味しい食を提供しているとは言える。価格もすばらしい。この先はいかにこだわりと良質な食材を使っていくかにかかっていると思う。

もう一つ心配なことがある。それはオフィシャルと思えるホームページが死んでいることだ。これだけネットが普及した情報社会でオフィシャルホームページが無い、あるいは管理されていないということは非常なマイナス要因となる。得得のうどんはファンも多いと聞くので是非ともホームページを充実し、正確な情報を発信していただきたい。

とくの屋

低価格路線がうれしいワンコインコンセプトのうどん店。うどんが主だが最近では十割そばもウリ。

2003/08/10

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