今、中食(なかしょく)が熱い。中食という言葉は、内食と外食の中間という意味である。では内食というのはなんだ?つまりこれはウチで作って食べる食事。昔の主婦は夕方になると近所の商店街に夕食の材料を買いに行く。「今日はなんにしようか?」

外食とは、外で食べる食事である。家族揃ってたまの行楽。遊び疲れて、家に帰ってから食事を作るのもめんどくさい。そこで外で食事をしようということになる。高級レストランに入り散財する。1970年頃のファミレスの成功はこのレストランがめちゃくちゃ高いのに目をつけ、低価格で需要に応え展開したところにある。

内食の解決策は過去いくつかあった。ヨシケイなどが献立を用意し調理直前まで仕込んだ材料を宅配する。これは献立を考える手間もなく、人数分の材料を届けてくれるので無駄がなく、一気に流行ると思った。しかし、そうでもなかった。そこまでするならいっそできあがったものがほしかったのである。ほしいのはカレーの材料ではなくできあがったカレーなのだ。

さて、中食。中食とは外でご飯を買い、ウチに持ってかえってする食事のこと。いまさら騒ぐことはない、昔からこの中食はある。お肉屋さんのコロッケなどは代表的なもの。また、蕎麦屋の出前も中食といえる。ほっかほっか弁当は持ちかえり弁当に温かいご飯を提供し、一世を風靡した。つまりお惣菜だ。

今、中食が再び注目される最大の原因は新しい需要があるからだ。つまり外食は高い。かといって家で作るのはめんどくさい。専業主婦が減り、共働きが普通。昔とはちと違うのだ。

外食産業は持ちかえり商品を開発し宅配サービスをはじめた。不景気であえぐデパートはデパ地下の中食に生き残りをかけ、見事に盛り返している。コンビニに押されひっそりしていたほかほか弁当チェーンも反撃に転じている。コンビニだって負けてはいられない。プロの味付けを導入し、迎え撃つ構えだ。

ところで、じゃあファミレスはどうしたらいいのか?ガストのように宅配をはじめればいいのか?店の中の一部を総菜売り場にすればいいのか?答えはノーである。

ファミレスは外食産業である。外食産業は外食産業の中に活路を求めなければならない。中食は成長しているけれども、外食の需要がなくなったわけではない。もちろん外食の需要は減ってはいるが、需要が減ったのは高い、遅い、不味い、などそっぽ向かれるようなことを今まで平気でしてきたからだ。つまり自らの首をしめたわけ。

中食に力を入れるのは一向に構わない。しかし、それは別事業として考えるべきで、外食産業がやるべきことではない。ガストのような宅配を積極的に行うのも好き好きだが、ではその影響で店売りはどうなのか?手間が増え従業員は決して楽ではないはずだ。その為、ご来店いただいたお客様に対し、肝心の笑顔が消えてしまってはなんにもならないのである。

2003/02/09

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