外食産業は特にデフレがひどいという。つまり物価が下がっているということ。これはそれだけ下げられる余裕があるということなのか。それとも今まで儲けすぎだったのだろうか?最終的に利益が残るかどうかは別として、価格設定が高すぎたということは誰しも思うことだろう。後進の低価格レストランが躍進し、老舗のファミレスが苦労するのはなんてことは無い、そういう低価格レストランを付け入らせるスキを自ら与えていたのだ。自業自得。
さて、価格を下げたとはいえ、それをカバーするだけの利益を得るのは大変なこと。当然今まで以上に経費節減に努めなければならない。マネージャーの手腕が試される時だ。しかし経費を節減とはいえ看板を消すわけにもいかないので、一番安易にしかも大きく節約できるのは人件費、つまりパート、アルバイトの労働時間のカットに走るわけだ。
よくあるのが、「今日は暇だからもう帰ってもいいよ」ってヤツ。早くに帰れるのは嬉しいと思う人もいるだろうが、当然収入は減る。生活がかかっている場合、非常に困る。学生アルバイトがよくこれをやられるのだが、学生だって金が要る。バイト代をつぎ込んでなお、家計はぎりぎりだったりするのだ。
この時、労働契約書を確認しよう。使用者の都合で時間短縮する場合でも6割は賃金を支払うことが法律で義務付けられている。従って労働契約書に書かれている時間が5時間の場合、その6割の3時間分は支払う義務がある。したがって、かえっていいよ、とはその賃金を保証しなければ言ってはいけないことなのだ。いいかえれば、使用者はその日の予定賃金の6割を支払えば、今日は帰っていいよ、とうことができる。
また「今日は帰ってください」といわれても、労働契約書に労働時間が明記されている時間は【働く権利と義務】があるから拒否することもできる。労働契約書はただの紙切れではない。契約書なのだから法律上守られていることをよく踏まえ、労使ともに遵守するようにしよう。うかつに帰っていいよなどとは言えないと思ったほうがいい。
そもそも、その日になって人件費のコントロールをすること自体、自転車操業的なマネジメントと言わざるを得ない。マネージャーたるもの、前日にはきちんと売上予測を立て、当日はそれを守ることを徹底するのが筋である。
発注した食材が納品された時「今日はヒマだからこれとこれは返品するよ」なんてできないでしょう?人件費だって同じこと。契約をむやみに変更するのは「濫用」に当たることを認識しよう。
(休業手当)
第二十六条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/rouki3.htm
2001/11/25