弊誌の読者はどうも飲食関係に従事してらっしゃる方が多いようだ。デニーズの社員もいればすかいらーく系のスーパーバイザーもいる。サイゼリヤのアルバイト諸君もいる。たまに来るお便りには愚痴もあれば暴露のお便りもある。そして感じるのは皆さん結構楽しく働いているという事だ。外食産業は楽ではない。経営も厳しい。しかし楽しくやっているお便りを拝見する限り、外食産業はまだまだイケルと確信するのである。

外食産業は人手商売だから、必要最低の人件費ラインというのがあってそれ以下に従業員の数を減らすことはできない。これがじつは外食産業の最大の強みなのである。インターネットで簡単に物が買えるようになっても、思うように売れないサイトも多い。かといえばバリバリ売りまくるサイトもある。これはどう違うかというと、サイトの裏側に店主が見えるかどうかが鍵となっている。店主の見えないサイトは誰がやっているのかわからず、信用できないから物が売れない。これはあたりまえである。

たとえインターネットでも物を売るのは人である。買うのも人である。単にその方法がたまたまインターネットという新しい媒体に変わっただけ。本来の商売としての観点からすればなんら変わっていないのである。パソコンが物を売っているのではなく、その後ろにいる人が売っているのだ。こだわりのある店主の意気込みが感じられるサイトには感動がある。店主の存在がある。だから売れる。

これを外食産業にあてはめてみると、外食産業は人手商売だから人と人とがバリバリにふれあう。これを逃す手は無い。店長は奥にこもってないでどんどん店に出よう。邪魔者扱いされてもいいからキッチンを荒らそう。皿洗いなんかしなくてよい。ディッシュウォッシュはそのうち来る夜のアルバイト君に任せればよい。どんどん店に出てお客と話そう。バイトと話そう。そして明るい雰囲気を作りまくろう。そうすれば店主の見えるファミレスができてくる。店長が明るくなれば、バイトも明るくなる。社員も明るくなる。そして店が明るくなる。お客は気持ちがいい。

「あそこのファミレスの店長はドジだけど良い人なんだよね」。こんな評判が近所に立ったらしめたもの。そのファミレスは当分は安泰である。店長は井戸端会議の主役になるくらいでなければならない。

2002/02/17

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