以前ドライブインについて書いた。ドライブインは今のファミレスの前身であるが、そのドライブインたけなわの昭和40年代にすでにがんばっていた企業がある。山田うどんである。山田うどんは今も変わらぬ安心と低価格路線でファミリーや定期便のトラック運転手、ビジネスサラリーマンに強い支持を得ている外食産業なのである。
山田うどんの創業は昭和10年。製麺所として生まれた。その後昭和28年には会社組織となり、昭和42年には山田食品産業株式会社に改組。このころから外食産業に力を入れることとなる。
山田うどんは積極的に郊外型チェーン店を出店し、うどん店の「山田うどん」そしてラーメン店の「カントリーラーメン」が関東の街道筋を席巻した。残念ながらカントリーラーメンは今は姿を消したが、山田うどんは今も健在。カントリーラーメンは当時流行した札幌ラーメンブームに乗じたものだろう。うどんも安いがラーメンもとにかく安かった。200円もしなかったように記憶している。
山田うどんの店舗は決して「おしゃれ」ではない。どちらかというと「ダサイ」部類だろう。しかし店内は清潔で従業員もしっかり教育されている。FC展開をしているから、ウエイトレスはパートさんだと思う。しかしその接客はそつがなく気持ちがいい。
メニューを見てみるとファミレスの大体半分位の予算で食事ができる。セットメニューでも高くて700円。これは毎日の食事にうれしい価格だ。安く安全に食事をするために作られた食堂という明確なコンセプトを感じることができる。自社のやるべきことをわかっているこういう企業は強いのだ。
さて入店した店はお世辞にもきれいとはいえないのであえて店名は伏せる。古い店なので店内はしみだらけ。ぼろぼろである。しかし不潔感は無い。お客も入っている。従業員も元気が良い。
席に座ると早速キャンペーン中の餃子を勧められた。それを頼む。もう一つ冷やしたぬきそばを注文。すると餃子と一緒がいいかと尋ねられた。餃子は時間がかかるのでクレームになりやすいので確認するというわけだ。よくわかっている。そばにするかうどんにするか、温かいのか冷たいのか、うどん店はお客に聞くことがたくさんあるがその辺りも手馴れている。
味は以前よりかなり洗練されてきた。こと麺に関しては、つゆも麺も看板に恥じないものを提供しているといえる。その他のメニューは冷凍食品やレトルトを使用してメニュー数を稼いでいるので逸品といえるものは少ないが、どれも安心して食せるものだ。甘味やドリンクなども充実しているので子供づれファミリーは結構お金を落としていくだろう。
「おいしいものを手軽な価格で安心してお召し上がりいただく」。
きわめて簡単で明確な山田うどんの基本姿勢は、飲食業の本質を突いていると断言できる。
冷やしたぬきそば(250円)と餃子(キャンペーン中150円)を注文。安心して食べられる味である。
2003/05/25
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