最近テレビでの特集が多い東京築地周辺のすし屋。魚市場が近く、最上のネタを安く提供していることで全国から注目されている。すし屋といえば飲食店の中でも存亡の激しい業種である。おいしいけど高い、お勘定が不明確である、というような殿様商売を長年行なってきた。元々ネタが高いんだから寿司の価格が高いのはしょうがない、という理論でやってきた業種だ。

バブルがはじけた今そんな理論が通用するわけが無い。いち早く安い食材を開発した業者は景気低迷なんかものともせずばく進する。旧態依然とした店は閉鎖に追い込まれる。これは当然の成り行きである。

銀座という場所はもはや高級な場所ではない。そもそも銀座は庶民的な町であったのがいつのまにか社交場となり一般市民には手の届かない町になってしまった。それが今は庶民的な町に戻りつつある。とにかく銀座界隈は激安飲食店が元気がいい。

2001年の5月に訪れた「すしざんまい」。ホームページで紹介したところ「ホントですか」という問合せが今も多く寄せられている。あいまいな返事はできないので返事もせず、そのままにしておいたが、これではいけないと思い確認のため再訪した。

なんと「すしざんまい」は全4店舗に成長していた!!

2001年に訪れた「すしざんまい」は本店。24時間年中無休で営業中。今回も行列ができていた。その路地先に回転寿司の「廻るすしざんまい」が新しく営業中。こちらは8時~23時までの営業で年中無休。

その路地を出て右に折れると別館が現れる。ここも行列。別館は本店と同じ24時間年中無休である。そして新橋側に戻って新大橋通りを渡り江戸銀の隣に構えるのが「すしざんまい本陣」。ここも行列。本陣だけあって店舗の作りは豪華。老舗の江戸銀に負けていない。負けていないどころか江戸銀には驚くほど客がいない。

4店舗に増えて、欲を出しているのかと思いきや、全店同じ価格で提供している。むしろ回転寿司はより安く提供しているようだ。本陣は同じ価格ながらやや寿司は小ぶりに感じた。しかし、全店通して感じるお値打ち感は健在。今回の確認でクレジットカードが使えるようになったのもうれしい。

会計は伝票方式の明瞭な会計システムになっている。そしてここのウリはなんといってもやっぱり本マグロ。他のネタもあるが、冷凍ではない生の本マグロの寿司はそんじょそこらでは食べられない代物である。それが、大トロ1貫(1個)¥398。中トロはなんと¥298。ここにきたら他のネタには見向きもせず、ひたすらトロを頼もう。

もう一度確認したい。ここは冷凍ではない、「生の本マグロ」を食わせる。しかも年中無休で24時間営業である。つまり、いつ来ても、おいしい生の本マグロが食えるのだ。これほど強力で明快なコンセプトがあるだろうか?

世のファミレス関係者諸君。もう一度自店のコンセプトを見直して欲しい。果たして遠路はるばるやってくるだけの魅力が貴店にはあるだろうか?そして、となりにそういうコンセプトを持った店ができたときにはどう対処するのか?よく考えて欲しい。

ところで破竹の勢いの「すしざんまい」もうかうかしていられない。近所にすしざんまいをターゲットにした競合店ができ始めているからだ。微妙に安い競合店とのこれからの攻防が見もの。いずれにしても消費者としてはうれしいことだ。

『つきじ喜代村 すしざんまい 本陣』
住所:〒104-0045 東京都中央区築地4-4-3
電話:03-5565-3636
営業時間:24時間(1・3階)11:00~24:00(地下1階・2・4・5階)
定休日:年中無休
アクセス:地下鉄日比谷線「築地駅」下車、徒歩5分
都営大江戸線「築地市場駅」下車、徒歩5分

2003/09/21

関連記事