1977年。当時ほんとにそう信じていた人も多いだろう。すかいらーくが成功したのは何を隠そう店の名前が「ひらがな」だからなのだ。うーむ凄い発想だ。そうか、店の名前をひらがなにすればどんな店でも流行るのか、ってんで、まー節操のないこと巷にはひらがなのファミレスが雨後の筍のごとく乱立。ふぁみーる、ろびんふっど、きょーたる・・・

ちなみにここで解説すると、ふぁみーるはファミールとしてイトーヨーカドーの店内食堂を展開していた和食チェーン。わざわざ「ふぁみーる」とひらがなに換えて郊外ロードサイド展開した。ろびんふっどはスーパーの(株)カスミの外食産業部門の走りで、その後ココスに転換。そのココスも今は売却してしまったというシロモノ。きょーたるはご存知「京樽」。元々は上方鮨の老舗で茶巾鮨がうまい。茶巾鮨だけを売ってればよかった会社だ。

さて、やがてバカバカしくなったのか目が覚めたというかそんなことで店が流行るはずがないと気がついたのかよくわからんけど、店の名前を元に戻す企業も現れてきた。せっかくひらがなに変えたのに元にもどしちゃうの?ま、いいけどそのすかいらーくそっくりの店構えはどうするの?そう、店構えも全くそっくりに作ってあるのだ。

すかいらーくそっくりの店構えは乱立していた。デニーズそっくりの店もあった。栃木県の小山にはデニーズの建物そっくりの工務店がある。岩手に行った時の発見した「トニーズ」には笑えた。看板も店構えも、店内の装飾もユニフォームもデニーズそっくりなのだ。看板の「De」が「To」に変わっただけ。これは見事だった。遠くから見たら全くデニーズ。しかし、これは多分本家からクレームがついたと思う。日本は冗談が通じないから。まぁ冗談でファミレスやってたわけじゃないと思うけれど。

しばらくすると案の定すかいらーくもどきなビリヤード屋やデニーズもどきなレンタルビデオショップを見ることができるようになる。外観を真似ただけでファミレスを続けることなんかできない。当たり前だ。

すかいらーくが成功したのは店名にひらがなを使ったからではなく「外食」というサービスをシステムで売りまくったことによる。もちろん、ひらがなの店名はファミリーに親しみを与えたろう。見た目に明るくきれいでオープンな店舗はゴージャスな気分にさせてくれたに違いない。しかしそれらはあくまでもおまけなのだ。主役は美味しいハンバーグステーキ¥480であり、豪華なデラックスハンバークステーキ¥680なのであり、美味しいデザートであり、一流ホテル並みの接客なのでり、家族連れで来て安く楽しく食事ができた満足度なのである。要するにすかいらーくは「食の喜び」を安く提供して成功したのである。

その成功の裏には、当たり前だが企業努力があった。通常レストランというと客席より厨房の方が広い。これは客の目ではわかりにくいが大体6割が厨房、4割が客席と考えて間違いない。

しかし、すかいらーくはこの面積比を逆転した。セントラルキッチンを別に設備し、店舗あたりの厨房を小さくすることに成功。厨房だって家賃がかかるのだ。小さくなればその家賃を節約することができる。そしてそれは低価格を可能にする。トータルな意味で外食を売りまくった企業はすかいらーくが初めてだと思う。そういう意味ではすかいらーくは全く偉い!凄く偉い!

ところで情報通によればトニーズを開業した会社は、その御曹司がデニーズの社員だったらしい。デニーズ時代のノウハウを全ていただいた御曹司がトニーズを開業したというわけ。やはりクレームがついて、その後店名を変更したとかしないとか。内容がともなっていないので、成功するわけもないのだが。

2001/09/23

関連記事