サイゼリヤの強みはいつ行っても安いということに尽きるだろう。大勢で押しかけても一人で行っても、昼に行っても夜中に行っても、いつも安くて美味しいものを食べられる。これは消費者にとって極めて大切なことである。
よく見る家電屋のチラシに「日替わり特価品限定1名様」なんてのがある。並んでも余禄に預かるのは1名様である。たった1名様に対するサービスがビジネスといえるだろうか?こういう店はテレビが100円だの1,000円だのとやっているが、客の目は冷ややかである。飛びつくのは最初だけ。今はもう撒き餌だということが分かっちゃっている。
一方で、チラシ商品を大量に用意し、朝来ても閉店間際に来ても誰もが余裕を持って買えることを重点にしているホームセンターがある。ここは決して数量限定販売をしない。それどころかチラシ売り出し期間が過ぎても同じ価格で売っていたりする。つまり、客はどんな客でも「お客様」であり、お客様ならば差別してはいけないという信念で経営している。真のサービスとは何かを教えてくれる企業である。
さて、サイゼリヤの価格設定は公言していないが、市価の半額を目指していると思う。これは山田うどんも同じような方針である。しかし、あえて「市価の半額」というようなことを打ち出していないところが好感が持てる。なぜなら、市価の半額という言葉ほどあいまいで不透明な言葉は無いからだ。ここで「市価の半額」をうたったら間違いなく公正取引委員会からお取調べが来る。「市価の半額」は使わないのではなく使えない、が正しい。
ところで、マクドナルドでは「平日半額」はまだ続けているようだ。半額セールを決行中、株式の公開をするなど大変鼻息が荒い。たしかに半額は嬉しい。というよりハンバーガー¥65が嬉しい。既に半年近く半額セールをやっていると思うが、もはやもとには戻せないところまで来ているのではないか?そんなことを思ってしまう。
ここまで来ると、半額つまりハンバーガーは¥65でも十分にやっていけるのだと消費者は確信している。ということは、企業努力をすれば土日も半額、つまり¥65でできるということだ。言い換えれば、土日は倍額の高いハンバーガーを買わせられているということになる。
また、この「平日半額」は公取の「価格表示ガイドライン」に引っかかる可能性もある。ガイドラインによれば、半額の比較対象となる価格は8週間前までとあり、その半分以上の期間で売られていた価額が平常価格となる。マクドナルドが言おうとしている「平常価格」は、土・日曜日の価格ということだが、これは過半でないことは明らかだし、8週間を大幅に越えている現状では「半額の方が平常価格」である。したがって上記のガイドラインから外れていると言える。
平日の価格¥65を半額と言うために、土日に高く売っているとしたらこれは消費者に対し失礼な行為である。マックは直ちに「いつも¥65」で売るべきではないだろうか?消費者は半額だから買うのではなく、¥65という価格に価値を見出しているから買うのだ。顧客はバカではない。紛らわしい平日半額をいつまでもやっていたら、かえって滑稽なものと見られるし、既にそういう動きはある。
2001/09/09