昔はレストランといえば、新米やアルバイトは皿洗いに決まっていた。山のように積み上げられた皿を一生懸命洗う。そして皿を洗い続けて一日が終わる。来る日も来る日も皿洗い。そんなことを繰り返していたものだ。
しかし、今では皿洗いはレストランにはあまりいないのだ。皿洗いは専用のデッシュウォッシュマシンに任せる。マシンは誰にでも扱えるから、従業員が交替でマシンを使って皿を洗う。もはや皿洗いという職種がなくなりつつある。
忙しいランチタイムには全員で接客調理にあたり、ランチタイムが過ぎたら、全員でその後片付けをする。洗い場は足の踏み場もなくなるくらいすごいことになっているがどうってことはない。しかし注意すべきは十分に皿やシルバーなどを用意しておくことだ。ディッシュウォッシュエリアに誰も居ないのに、皿やフォークが足りなくなるとえらいことになる。これは経験者なら実感できるであろう。
デニーズでは、クリーンヘルプという名の職種がある。これは、客席から食器を下げる仕事までこなすが、本来は皿洗いだ。今ではディッシュマシンがあるので、皿洗いというよりはディッシュマシンオペレーターというほうが正しい。あえて皿洗いの職種を残しているのは、募集をかけたとき応募の歩留まりを多くしておくためだ。
レストランで働くにしても、調理はできないし、接客はちょっとという人は多い。愛想笑いが苦手な人は結構多いものだ。そこで登場するのが皿洗い。皿洗いならなんとかできそうだと思うのだろう。実際応募も多い。デニーズではとりあえず皿洗いで採用し、そのあとできそうな人をおだてて調理担当あるいは接客にうまく誘導するというわけだ。
最近のディッシュマシンは本当によくできている。使う洗剤も少なくて済むしガス代や電気代、水道代もそれほどかからない省エネ設計になっている。何より便利なのが、一回の洗浄でいくらかかるとはっきりで数字が出るところだ。ちなみに私が使っていたマシンは一回通すと30円。今はもっと安くなっていると思う。ファミレスなど計数で管理するところは、このように定数で管理できるマシンは重宝すると思う。
手で洗う場合は手荒れがあるため、洗剤には気を使う。中性洗剤を使っていても肌の弱い従業員は1週間で手がぼろぼろになる。中性洗剤の場合性能はほんと値段だ。安い洗剤は手が荒れるし、汚れが落ちない。
洗浄機を使う場合は手荒れは関係ない。したがってアルカリ性の洗剤を使う。有リン洗剤も使う。熱水とジェット水流そしてアルカリでほぼ油汚れは落ちてしまう。
仕上げに使うドライリンスは、水滴の跡を残さずきれいな輝きを演出する。洗浄機はその仕上げに使ったお湯を下のタンクに溜めておき、次の食器の予洗に使う。まったく無駄のない設計だ。これなら無能な社員を一人くらいクビにしても、十分採算がとれるのはいうまでもない。
2002/12/01