ケンタッキーフライドチキン(以下KFC)ではチキンをフライヤーで揚げることは誰でも知っている。そのフライヤーが圧力釜であることは最近あまりPRしていないから知らない人もいるだろう。KFCのチキンは圧力釜で揚げるから美味しいのだ。
その圧力釜(プレッシャーフライヤー)は店によって2種類のフライヤーを使い分けている。昔ながらの丸い電気式ポット型フライヤーと四角いガス式のフライヤー。電気式のほうが立ち上がりが早く油温管理は楽だが、おいしさの点ではガス式にかなわないという。
プレッシャーフライヤーは内部に圧力がかかるタイプ。気圧の関係で沸点が高くなるので中までふっくら火が通る。圧力鍋と同じ原理だ。しかし家庭の圧力鍋でこれをやってはいけない。危険だし、へたすると火事になる。KFCの店でも過去何回か火事があったそうだ。一番多いのがピンホール事故。フライヤーに針ほどの穴が開いてもそこから圧力のかかった油が霧状に噴出す。それに火が引火してあっという間に全焼する。火炎放射器のようだという。そう言うわけでプレッシャーフライヤーの管理は特にうるさい。扱う場合、作業は声に出し復唱する。
さて使う油はショートニング。植物性の油を乳化したもので独特の風味がある。上質の油で高価。家庭ではケーキに使うくらいで、揚げ油として使うには高すぎて使えない。それをあえて使うのはこれもKFCのこだわりの一つでもあるのだ。
最近ショートニングの風当たりが強い。自然界では存在しない物質を使っているということで健康に良くないというのだ。マーガリンとバターの論争に似ているが、ショートニングはもともとはラード(豚の油)の代用品。そのせいかフライにはよく合う。私はショートニングでいいと思う。もちろんラードでもかまわない。動物性の油も人体には必要だ。
揚げ油の管理は徹底していて何回目かのフライで交換。もちろん揚げたあとは毎回濾す。油の温度は最初は高め、その後は低めになり2段階でタイマーコントロールされる。チキンは前もってバスケットに入れられそのバスケットごと油に浸す。バスケットは3段になっていて、上の方は油の温度が高いので、サイやドラムなど肉厚な部位が占領する。ウイングやリブは火が通りやすいので、バスケットの下の方に位置する。上のほうが温度が高いからだ。
からっと揚げられたチキンは15分は油切りの為販売禁止。専用の熱蔵庫に入れられ2時間以内に完売する。2時間経過したものは廃棄するのだが、実際には3時間くらい経過したものでも売る事がある。これにあたった人はハズレだが油は切れているのでダイエットにはいいかもしれない。
2003/06/15
関連記事
- 投稿タグ
- ケンタッキーフライドチキン