某百貨店の最上階にある某ホテルの高級レストランに入った。夏限定のディナーを注文したことが間違いの始まりだったかもしれない。そのメニューはフルコースであるから肉料理と魚料理が付く。肉料理は仔牛のカツレツということは承知していたのだがこれが失敗だった。フルコースの肉料理は「ステーキ」が無難と肝に銘じた。
接客はホテルの経営するレストランだからレベルは高い。常に客の動きを見ていてぬかりが無い。飲み物のお替りやディッシュサービスのタイミングなどサービスは極上である。しかしいただけないのが「味」だ。
まず最初に出てきた前菜はフォアグラを使ったものの全く感動が起こらない。まるで缶詰のランチョンミートみたいな味とそっけなさ。さらに続けて出てきたスープは大きな豆が丸ごと入っていて違和感極まりない。スープなんだからうづら豆はすりおろせ、といいたい。
コースの場合はご飯ではなくパンをチョイスした場合、前菜と同時に提供されるのが普通。ここで美味しいパンを出されるとついついパンだけを食べ過ぎてしまうものだ。ところが出てきたパンは冷たく固く美味しくない。思わずウェイターを呼び「固くて食えない」と苦情を言う。ウェイターは恐縮してパンを下げたものの、代わりに持ってきたパンはやはりぬるく固い。
魚料理はしょっぱく、メインの肉料理はカツレツをミルフィーユよろしく重ねてあり食べにくさ100倍だった。なんでこんな食べにくい料理を考えつくのか呆れて感心したのだった。シェフを呼べ、と怒鳴りたくなる気持ちを抑え、しめて6500円の代金は後味悪いものと相成った。
その2日後、ランチタイムに久しぶりのデニーズを訪れた。懐かしい「知床鶏のみぞれ和え」も「和風ハンバーグ」も健在だった。食べてみればあの食べなれた安心感のある味。パンは「カンパーニュ」をチョイス。オーブンから出したての熱々の美味しいパンが的確なタイミングで提供された。
まずく固く冷たいパンを平気で出す一流ホテル直営レストラン。かたやリーズナブルな価格で美味しいパンを出すデニーズ。ここに今まで努力をしてきたファミレス老舗の底力、培ってきた信頼を見る思いがするのである。
ちなみに某百貨店の某レストランとはここである。猛省を希望する。
2003/08/17
2005/09/18追記:
このホテル直系某レストランは案の定なくなりました。