スターバックスコーヒージャパンの調子がおかしい。前期は16億円の黒字を出したが今期は1億9000万円の赤字となる見通しだという。今期の予想が22億円の黒字だったというから大幅な誤算。破竹の勢いを誇ったスタバも方向転換を余儀なくされている。

しかしこれは当たり前の話だと思う。

街を歩いてもスタバの亜流がやたら多い。エクセルシオール、タリーズ、その他モノマネカフェなどなど。カフェに入る動機は「とりあえず今休みたい」だから、目の前にエクセルシオールがあれば100m先にスタバがあろうとエクセルシオールに入ってしまうだろう。似たような店の苦悩がここにある。

あなたが例えば1つの飲食店を出店しようとしていたとする。出店したら早々は閉店できない。どんなことがあっても営業を続ける覚悟が必要だ。出店当時は競争がなくてもいつ何時隣に競合する店ができないとも限らない。そういったことを踏まえ、隣に同じような店ができたとしても十分に勝ち抜ける商品とノウハウが無ければいつかは負けてしまう。出店する時はそういった先読みが必要なのだ。

これをスタバに置き換えてみよう。スタバはヒットした。客に支持されどんどん伸びていった。当然他の企業も注目する。そんなに儲かるなら俺もやってみようと誰しも思うだろう。そしてどんどん真似されるのだ。

真似され始めた時、その企業の本当の真価が問われる。簡単に真似されるようではダメなのだ。そんな企業は先が見えている。しかも後から真似する方がコストもかからないし強いといえる。つまり絶対の真似のできない商品やノウハウを社内に蓄積しているかどうかにかかっているのである。

ところで、ファミレスはどうであろうか?本当に自社しかない商品ノウハウをもっているのだろうか?一番大事なのは食材である。これをオリジナルにしない限り新しいメニューは必ず真似されてしまう。ところが食材について意外と無頓着なのがファミレス。

確かにオーガニックなどとこだわりを持ったメニューを開発していることは確かだ。しかしその食材の仕入先はファミレス御用達の食材会社だったりする。そこはデニーズにも食材を卸しているが、ココスやロイヤルにも卸をしている。つまり出所は一緒。これでは、他社を差別化した商品など開発できるわけがない。ファミレス企業はまずは畑を耕すことから始めなければならない。スーパーバイザーは鍬を持て。

ところで、畑を最初から耕している古い企業がある。ケンタッキーフライドチキン(KFC)がそうだ。ここは食材から自社で開発しており、その他の食材も自社製品にこだわっている。従って外食参産業の中でも一段と光っているのがKFC。ここのチキンは絶対に真似ができない。KFCのチキンはKFCでしか買えない。

最近KFCでは色々なメニューを始めているようだが、いつも言うようにKFCはチキンだけ売っていればよいのだ。他のくだらないメニューは不要。そんなことに経営リソースを投入するのはもったいないといえる。KFCはもっともっと美味しいフライドチキンを目指すべき。そして、その姿勢をスターバックスは大いに学ぶべきであろう。

2002/11/17

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